つぼ知らずの鍼
- 備忘録 東洋医学
- 7月16日
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今回お伝えしたいのは、「病の応(しるし)は体表に現れる」という、ただ一つのことです。私はつぼを暗記して使うのではなく、患者さんの身体にそっと触れ、コリや張りのある場所を探して、そこに鍼をしてきました。いわば素人の鍼です。
身体は上から下まで、筋膜のつながりや督脈を通じて、みなつながっています。ですから、ひとつのつぼへの刺激が、思いがけず全身に届くことがあります。そんな視点から、頭や顔、のど、胸、背中、腰へと、症状ごとのアプローチを、実際の症例を交えてご紹介していきます。たとえば、長年の咳が胸の鍼でその場で和らいだり、胸の痛みが背中をゆるめることで楽になったりすることがあります。
漢方においても体表をみることは重要です。四逆散証が背中に現れることや、頻尿に四逆散と牛車腎気丸を合わせた例などを通して、症状だけでなく、その方の姿かたちから病態の本丸を読み取ることをお話しします。
もちろん、鍼がすべてに効くわけではありません。効かないときは、かえって器質的な病気を疑う手がかりになります。また、弱っているときや風邪のときなど、「守りを解いてはいけない時」もあり、そこは慎重でありたいと思います。
医療の原点は、痛むところに手をあてること――手当てです。遠隔診療が広がる時代だからこそ、来て、見て、さわる診療は、原点から外れないと信じています。どうか患者さんに触れて、体表からの声を聞いてみてください。

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