めまいに対する漢方医学的アプローチ
9月23日
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めまいの診療では問診の占める比重が大きく、罹病期間・反復性・随伴症状・性状・持続時間をていねいに聞き取ることが出発点になります。本稿では、水滋を軸とした漢方的なめまいの捉え方と、四つの利水剤の使い分けを、三つの症例を通して整理します。
『万病回春』は「おおよそ、頭暈は痰なり」といい、『丹溪心法』には「痰なくば眩をなさず」とあります。ここでいう痰飲は日本漢方の水滋にあたり、内耳の内リンパの異常を末梢性めまいの主因とする西洋医学の見方とよく重なります。
利水剤は舌脈と随伴症状で選びます。五苓散は嘔気と口渇、苓桂朮甘湯は頭位変換で誘発されるめまい、真武湯は新陳代謝の低下と冷え、半夏白朮天麻湯は胃腸症状が著明なものに向きます。めまいの要薬である天麻末を加えると、効きが一段と上がります。
症例1は72歳女性。頭位変換で誘発される回転性めまいに対し、苓桂朮甘湯に天麻末を加え、肾虚に対して牛車肾気丸を併用し、2週間で軽快しました。症例2は68歳女性の浮遊性めまいで、真武湯と牛車肾気丸の併用が1週間で著効しています。
症例3は40歳男性。胃腸虚弱と胸脇苦満があり、半夏白朮天麻湯に四逆散を併用して7週で経過良好となりました。途中で六君子湯に替えると悪化し、戻して立て直した経緯も、方意の違いを教えてくれます。
水滋をさばくことが第一ですが、そこで止まりません。瘀血・血虚、肾虚、肝の失調、気滋・気うつといった背景の歪みを見て取り、脾・肺・肾・肝の働きを整えること。めまいが長引くときほど、この視点が効いてきます。

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