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診 方

ある名医は『脈は触るんじゃない、切るんだよ』と弟子に伝えました。

切るように脈を見る。弟子は与えられたこの言葉を、毎回、患者さんの脈を診る時に必ず思い出すのです。

言葉を感覚に載せるために。毎回毎回、脈を切って診る。

また名医はこうも言いました。『人間も所詮動物だ。動物が動物を見ているという実感を忘れるな』

感覚的理解は、あくまで主観です。主観は必ず、客観性に担保されなければなりません。外科的手術の際も、内科的な治療の際も、やはり動物が動物を見ているという実感は、命に携わるものにとって必要不可欠です。その動物的直観に、知性としての弁証論治が積み重ねられたとき、治療行為には命が吹き込まれます。

みる きく さわる 望聞問切。古来から医療の基本であり、また経験を積むという意味では歴史を形成してきた診療技術です。現代医療におけるデータ・画像の蓄積もまた、本来はみる きく さわるの一部であるべきです。

東洋医学は、原因がわからなくても、現象として存在する症状を説明することができます。器質的異常だけでなく機能的異常を説明しうる医学です。だからこそ、感覚的理解を客観性で担保する繰り返しが、確実な診断と治療に至る唯一の道筋だと思います。

​四 診

望る 聞く 問う 触れる

人が人を感じ取るすべての窓口

そこから流れるすべてに感覚を研ぎ澄ます

生命のささやきを手に取り

人の核心へと降りてゆく

弁証論治

絡まった糸を一本ずつ解きほぐすように

症状の奥にある物語を読み解く

原因と結果が織りなす模様を見極め

方剤を選び出し

調和を取り戻す鍵を差し出す

冷凍葉
後でもう一度お試しください
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