メニエル病に対するイソバイドの功罪と漢方治療
- 備忘録 東洋医学
- 9月8日
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更新日:11月9日
今中政支(文責:峯尚志)
メニエル病は反復する回転性めまい、難聴、耳鳴りなどを呈する疾患で、その病因は内リンパ水腫とされ、特効薬としてイソソルビドが使用されています。しかし、他に有効な薬がないため、長期にわたって処方されることが多く、悪心嘔吐などの消化器症状、発疹などの皮膚症状の他に、その利尿作用によって、脱水、電解質異常、全身倦怠感、気分不良、意欲の低下などの副作用に悩む方が少なからずいらっしゃいます。しかも、これらの副作用は漠然としており見逃されることが多いのです。そして他に有効な治療がないため、副作用があっても、ドクターからはしっかり水を飲むようになどと言われて服薬を中止できない例が多いようです。
このような患者さんに筆者は漢方薬を用いて、イソソルビドの減量、中止に取り組み、満足のいく成果を上げています。方剤としては利水作用を持つ、五苓散や苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、真武湯などが選択されることが多いようですが、単に利水を目的とするだけでなく、ストレスの緩和、冷えや胃腸機能の改善など多方面にわたって個々の患者さんの病態に合わせて漢方を選択することの大切さを述べています。中医学的用語を使うと、脾虚、血虚、瘀血、脾腎陽虚、腎虚、肝の失調、気鬱、気滞などの弁証の基に、個別に処方を選択してます。また、標治を兼ねる一剤と本治となる一剤の二剤併用によってより成果が上がることを説いています。回転性めまいだけでなく、蝸牛症状である、難聴や耳鳴についても有効例が多いことには驚かされます。メニエル病にイソソルビド一択ではいけない、漢方があるよ、というのが彼からのメッセージです。固定観念にとらわれず、個々の患者様に相対する中で処方が生まれ、常に工夫を怠らないところに、今中漢方の醍醐味を感じます。そして、明るい性格と同時に、緻密さと優しさをそなえた今中先生が多くの患者様を治してきたことに敬意を表します。

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