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心下痞心下痞硬を問う

執筆者の写真: 備忘録 東洋医学
備忘録 東洋医学
9月23日
読了時間: 2分
心下痞心下痞硬を問う

心下の痞えは、とらえどころのない自覚症状です。器質的な異常になる前の機能的な段階をどう捉えるかは、未病を重んじる東洋医学の要でもあります。本稿では、心下痞から他覚所見としての心下痞硬に至る道筋を、病態と方剤の両面から整理します。

心下には横隔膜、胃、十二指腸、肝胆、膵、大血管が集まり、その奥でそれらをつないでいるのが腹腔神経叢です。網の目状の迷走神経と、脊柱の両脇を縦に走る交感神経幹。この陰陽の対が臓腑の緊張と弛緩を調えており、その乱れが心下の痞えとして表れます。

弁証は寒熱を軸に据えます。寒なら人参湯・桂枝人参湯、熱なら大黄黄連瀉心湯・三黄瀉心湯、寒熱錯雑なら附子瀉心湯と瀉心湯類。ほかに食滋の平胃散、水滋の五苓散、痰飲の二陳湯、気逆の茯苓飲があります。

瀉心とは心下の痞えを去ることであり、同時に心にこもった熱を瀉すことでもあります。黄芩は上焦、黄連は中焦、黄柏と大黄は下焦、山梯子は三焦を治す。この配置が頭に入ると、瀉心湯類の組み立てが見通せます。

半夏瀉心湯は心下痞硬に嘔気・腹鳴・下痢を伴うもの。生姜を加えて乾姜を減らせば生姜瀉心湯となり、乾噢食臭に応じます。甘草を増やせば甘草瀉心湯となり、急迫と心煩、はげしい下痢に応じます。飲み過ぎた翌朝の胃を思えば、辛開苦降甘調という組み立ての意味がよくわかります。

心下はまた、心理的な負荷が情動として現れる場所でもあります。痞えが強まれば内臓体壁反射として痞硬になる。寒熱を中心に、水滋・痰飲・気滋を念頭に置いて弁証すること。とりわけ瀉心湯類は、胃熱と心の熱、そして裏寒までを同時に扱える名方です。

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