橘窓書影を読む2-031〜050
橘窓書影を読む2-031〜050
今回の症例の概要は以下の通りです。2−031〜050までの20症例を学びます。詳しい症例の提示と考察については本編をご覧ください。
| 症状・病態 | 治療内容 | 転帰・考察 |
2-031 | 外感後、洋医の誤治により寒熱解せず。頭汗・足微冷・脈細数・背悪寒を呈する壊証 | 姜附益気湯→大柴胡湯→小柴胡湯加黄連茯苓→当帰四逆加呉茱萸生姜湯 | 全復。誤治で乱れた病位を、温補から攻下・和解・温養へと段階的に整え直した経過 |
2-032 | 諸侯の脚気。両脚麻痺・遍身水気、歩行すれば短気喘促す | 越婢加朮湯合唐侍中湯、のち九味檳榔湯去大黄加呉茱萸茯苓。飲食と房事の節制を深く諭す | 数日で全快出勤。「薬ではなく言葉で治った」と侯。脚気衝心の予防に養生を据えた例 |
2-033 | 肩背強痛甚だしく眩冒・不眠。左脇下に塊、胸中動悸が咽喉に迫る | 延年半夏湯、のち千金温胆湯加酸棗仁 | 五、六日で肩背痛消失し数日で全愈。中年の肩背痛の多くは湿痰でなく痃癖によると説く |
2-034 | 十七歳。心下欝塞・腹裏拘急・不大便・不食・抑うつ。医は労として治し無効 | 大柴胡湯加香附子甘草→延年半夏湯→抑肝散加芍薬。併記例は延年半夏湯加甘草+獺肝丸 | 数旬で全愈。若年女子の不定愁訴を虚労と早断せず、気滞・肝鬱を疏通した |
2-035 | 産後の小便淋瀝、痛み甚だしく寒熱往来、小腹に塊があり数月愈えず | 逍遙散加山梔子牡丹皮+硝石大円→猪苓湯加大黄+乱髪霜。併記例は解毒剤加滑石阿膠車前子 | 全愈。産後の淋を一律に虚とせず、肝鬱血熱と遺毒という原因別に治し分けた |
2-036 | 七十余歳の老僧。小便白濁し痛みが腰に引く。諸薬寸効なし | 済生牛車腎気丸料+蒲滑散 | 漸次治癒。高齢者の淋を清熱通淋でなく、下元を温補しながら利水して治めた |
2-037 | 疥癬が少し癒えた後、遍身洪腫・小便不利・腹満気急。水気将に内攻せんとす | 沈香降気湯合豁胸湯+三聖丸→済生赤小豆湯→巴豆酒の外用 | 全治。内攻した水毒をまず下し、瘡を表へ透発させてから外用で皮毒を処理した |
2-038 | 外感後、寒熱往来・心下急・微嘔。熱解後も両脚攣急して屈伸できず、のち痿弱で起立不能 | 小柴胡湯→大柴胡湯で微下→桂枝加朮附湯+芍薬甘草礬石の外用浸剤→済生腎気丸加鹿角 | 全愈。攣急(実)から痿弱(虚)への移りに合わせ、治法を温散から温補へ転じた |
2-039 | 二十歳。昼夜七、八行の膿血様悪臭の痢、直腸・咽喉の糜爛、虚羸・脈数で危篤の候 | 白頭翁加甘草阿膠湯+甘汞丸→千金断痢湯 | 数日で治癒。酷毒の痢を尋常の痢と区別した判断が要。甘汞は水銀剤で現代では用いない |
2-040 | 七十余歳。腹裏拘急・心下蓄飲・刺痛・吐酸。諸医は脾胃虚として補渋し却って悪化 | 四逆散加呉茱萸茯苓→半夏瀉心湯加香附子茯苓 | 数日で愈ゆ。脈沈実と少腹の力から実証と断じた。老人だから虚とは限らないという戒め |
2-041 | 五十余歳。久しく止まぬ下痢。のち四肢微腫・小便不利・心下への衝逆・精気の衰え | 高良姜湯→真武湯加人参+沈香降気湯加黄連呉茱萸 | 数旬で痊ゆ。寒泄を温めて止め、後に残る脾腎の陽虚と気逆を治めた |
2-042 | 五十余歳。腹満水気・四肢洪腫・大小便不利・心下堅鞭。利水の薬が効かない | 木防已去石膏加茯苓芒硝湯→香陸胃苓湯+六味丸加牛膝車前子 | 全愈。堅く結した水をまず軟下し、ついで脾腎を調えて水を去る段階的治療 |
2-043 | 外感後の熱不解・心下鞭満・肩背刺痛・短気。左脇下に痃癖あり脇下雷鳴。平素の鯨飲による | 大柴胡湯+大陥胸丸→延年半夏湯+硝石大円 | 数旬で癥癖全消。急性の結胸をまず処理し、背景の飲癖を後から消す二段の運び |
2-044 | 三十七、八歳。年来の吐水で反胃に至らんとす。のち気が少腹より心中に上撞し言語出でず四肢厥冷 | 小半夏加茯苓湯+起廃丸→肘后奔豚湯+沈香降気湯加黄連呉茱萸 | 病の十の七、八を減ず。吐水と奔豚が互いに制す=水飲と気逆という一つの病機が二症に分かれた |
2-045 | 十一歳。心下堅癖・肩背強急・飲食不節。外感すれば熱解せず骨蒸をなさんとす | 四逆散加鼈甲茯苓→延年半夏湯加甘草を半年常服 | 堅癖去り常人の如く強健に。兄二人は疳労で死去。痃癖が労をなす害を戒める |
2-046 | 五十歳ほど。外感後の胸脇満・黄胎・口渇・不大便・寒熱往来、のち咳嗽と臭痰 | 大柴胡湯加石膏→肺癰湯+獺肝散(犀角・獺肝・桔梗・甘草・竜脳) | 四、五日で臭痰止み速やかに全愈。陽明の熱を下してから肺の化膿へ転じて対応した |
2-047 | 二十六、七歳。反胃数旬で羸痩骨立。薬の気を聞けば忽ち嘔して飲めない | 旋覆代赭石湯(人参三分)を再煎して薄め徐々に嚥下。節食し蕎麦麺から稀粥へ慣らす | 数旬で年来の病が全愈。与薬法の工夫と段階的な食養で胃を立て直した |
2-048 | 十八、九歳。両眼の暴赤腫・熱涙淋漓で開眼できず、頭痛・眼球突出感・脈数・悪寒 | 大青竜湯加車前子の大剤で温覆発汗→外台謝道人大黄湯加滑石車前子 | 四、五日で全愈。眼病を外感(疫眼・風眼)と診て先表後裏。初手から瀉下する誤りを戒める |
2-049 | 六十余歳。疥癬に伴い卒に耳聾し一年余愈えず。発表攻裏の手を尽くすも験なし | 四物湯加浮萍荊芥→解毒剤合黄連解毒湯 | 数旬で全治。上部に及ぶ毒は内が乾ききった結果とみて、攻める前にまず潤した |
2-050 | 脚気の水気が去った後、両脚痿弱で起立できず。数月百治効なく廃人の如し | 四物湯加亀板石決明+化毒丸十五粒 | 数旬で起歩常に復す。血気枯燥を補い筋脈を滋し、残る湿毒の処理は少量に留めた |

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