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橘窓書影を読む2-051〜070

執筆者の写真: 備忘録 東洋医学
備忘録 東洋医学
10月26日
読了時間: 4分
橘窓書影

橘窓書影を読む2-51〜70

今回の症例の概要は以下の通りです。2−51〜70までの20症例を学びます。2−54には安政五年の麻疹大流行の記録が附されており、本巻の中核をなしています。詳しい症例の提示と考察については本編をご覧ください。






症状・病態

治療内容

転帰・考察

2-51

心労後の胸膈痞塞と心下堅塊。時気に感じて発喘し倚息して臥せず、冷汗・不食

外台の柴胡鼈甲湯、上迫の甚だしい時は麻黄甘草湯を兼用

数日で喘気収まり数月の苦患全治。喘を診て腹を治す

2-52

血熱の激烈な頭痛。両目脱せんとし嘔吐、冷水を欲す。発表して増悪

竹皮大丸料。石膏・鉛丹・薄荷精を冷水にとき額から眼窩へ外用

一昼夜で頭痛大減、飲食進む。内は清熱、外は冷却の併用

2-53

胸膈の攣痛と腰脚拘急で屈伸不能。脈沈弦、脇下鞕満して拒按(懸飲)

十棗湯で攻下→延年半夏湯、大陥胸丸を兼用。茴香桂枝甘草当帰の煎汁で熨す

攣痛去り屈伸常に復す。「熨蒸の功、内薬の右に出ることあり」

2-54

参府途上の痢疾。日夜七、八十行の下痢と後重、寒熱往来・嘔吐・虚脱

大柴胡湯で二日下す→黄芩加半夏生姜湯。平素の腹候に四逆散加呉茱萸茯苓

七、八日で下利治癒。「虚すと雖も何ぞ補渋を事とせんや」。安政の麻疹大流行の記録を附す

2-55

左脚の攣痛で歩行難、時に胸痛と下痢。後に左脚の肉脱と脱力

桂枝加朮苓附湯、胸痛時に高良姜湯。回復期は八味丸加木瓜鹿茸

痛み去り、残った筋萎縮も長服で全愈。急性期と回復期を分けて設計

2-56

麻疹後の高度な健忘(日時も姓名も記せず)と眩暈。数月の治療も無効

外台の竜骨湯、妙香散を兼用

数旬で眩暈止み記性自然に復す。熱病後の心神失養と読む

2-57

麻疹後の気鬱で言笑を欲せず。腹裏拘急・心下痞硬・不食、両脚は削小攣急

舒筋温胆湯→抑肝散加芍薬羚羊木瓜、済生腎気丸を兼用

脚気の誤診を「気疾」と正して全癒。関宿侯の妾も同方で全治

2-58

麻疹後の脚気衝心。両脚痿弱・小腹不仁・激しい動悸・小便不利・気息衝心

沈香降気合豁胸湯→回復期は加味四物湯加羚羊角

四、五日で利尿を得て気息解し、数月で平復。急性期は水、回復期は血

2-59

麻疹後の脚気。水気が去った後も痿躄して起つことができない

加味四物湯、虎脛骨丸を兼用

全治。浮腫が引いても神経障害は残るという経過を2-58と対で示す

2-60

麻疹中の痢疾。赤白の腸垢が日夜数十行、口中赤爛・脈虚数・虚脱

白頭翁加甘草阿膠湯を連服→八珍湯加天麻で調理

旬余で便常に復し、数旬で全治。麻疹による免疫低下下の腸管感染

2-61

麻疹後の下利止まず、腰以下は痿弱して起歩できない

真武湯で下利を止め、残った痿弱に済生腎気丸

数月かけて起歩常に復す。熱利ではなく陽虚水泛の下利と鑑別

2-62

麻疹の最中に分娩し疹が没して出でず。飲食日に減じ、ほとんど瘵状

六君子湯合当帰補血湯→遍身の痒みに四物湯加荊芥、苦参丸を兼用

肌膚滋潤して回復、小疹も治癒。「血脱には気を補う」の理

2-63

心下痞塞・任脈の拘急・動悸不眠、時々吐血。滋補の剤では効かず

四逆散加黄連茯苓、黄連解毒散を兼用

数旬で宿疾漸愈。腹候から「虚証にあらず、肝火の所為」と断ず

2-64

左脇下の塊癖。時々攣痛し、咳逆と盗汗を伴う(澼飲)

四逆散加鼈甲茯苓→便秘と攣痛が残り大柴胡湯加鼈甲甘草へ

塊癖減じ大便快通、攣痛去る。鼈甲を軸に土台の方だけ差し替える

2-65

冬の外感が遷延。脈数急・舌上黒胎・譫語煩乱、夜は狂の如く煩躁

発散も瀉下も無効の後に黄連阿膠湯→余熱に升陽散火湯去人参加生地黄

一昼夜で安眠、翌日には意識清明。二つの失敗が病位を絞り込む

2-66

外感後一年余の微熱・盗汗・動悸・目眩耳鳴・肩背強急。頭に大石、耳に大鐘

柴胡桂姜湯加黄耆鼈甲→熱解後は同方加呉茱萸茯苓、六味地黄丸加鍼砂を兼用

諸証全愈。治療目的の移行に合わせて加減を組み替える

2-67

傷寒中の大量下血(豚肝様・漆黒の塊)。四肢厥冷・冷汗・喘鳴で絶えんとす

黄土湯で止血→その後の発熱・譫語に升陽散火湯

下血止み四肢温まり漸次快復。2-65で増悪した方が本例では奏効

2-68

六十歳、数年の倦怠・不食・意欲低下。脈沈細、腹虚濡、他に苦しむ処なし

退隠させたうえで補中益気湯加芍薬茯苓を長服

数旬で治癒。「退きて静養するに如かず」=環境を変えることが根治療法

2-69

心下痞硬と数日止まぬ下痢。腰以下は削小し筋脈攣急して歩行不能

甘草瀉心湯で下痢を止め、八味地黄加鹿茸木瓜丸を兼用

下痢止み回復期の脚弱も全愈。寒熱錯雑の「胃中不和」と読む

2-70

気鬱。終日沈黙・終夜不眠・食に味なく、時々胸中に迫り心気不定

温胆湯加遠志酸棗仁で安眠を得る→帰脾湯加地黄(玄帰脾湯)で調理

数日で安眠、その後全愈。まず不眠を断つことを回復の起点とする



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