top of page

漢方医学の革命 傷寒論と六経弁証の謎を解く

  • 執筆者の写真: 備忘録 東洋医学
    備忘録 東洋医学
  • 9月8日
  • 読了時間: 2分

更新日:11月9日


漢方医学

傷寒論の六経弁証は、黄帝内経の陰陽五行論の世界観をどのように継承し、どのように発展させて成立したのか?『傷寒論』における六経弁証の構造と臨床的意義、さらにその理論的背景としての『黄帝内経』との関係について考察を深めていきます。

『黄帝内経』は戦国末期から前漢初期(紀元前3世紀頃)に成立した中国最古の医学書で、陰陽五行をはじめとする宇宙観に基づき、自然界の変化と人体の構造・機能を同一の原理で説明する体系的理論を築きました。例えば、五行説により木・火・土・金・水の循環が四季や臓腑の機能と結び付けられ、人間は天地自然の中に調和して生きる存在として理解されます。これに対し、『傷寒論』は後漢末(紀元2世紀)に張仲景によって著され、戦乱と疫病が広がる実践的な時代背景の中で生まれた実践書です。

『傷寒論』の著者は、「今まさに病んでいる人」をどう診て、どう治すかという臨床的即応性を重視し、病の発生から回復に至るプロセスを詳細に観察しました。その中で構築されたのが「六経弁証」であり、太陽・陽明・少陽・太陰・少陰・厥陰という六つの病位をもとに、病邪の体内進行や病態変化を段階的に把握しようとする枠組みです。これは陰陽や経絡、臓腑といった『黄帝内経』の理論を土台としながらも、理論中心ではなく実際の臨床経過に即して精緻に作られた分類体系であり、薬方選択においても極めて実用性が高いものとなっています。

また、六経弁証は陰陽学説や五行思想とも密接に関連しています。たとえば、三陽病(太陽・少陽・陽明)は表から裏への病邪の進行モデルと捉えられ、三陰病(太陰・少陰・厥陰)は臓腑の深層に及ぶ内証病理を示しています。これらの分類は、単なる抽象的理論ではなく、診断と治療のスピードと正確性を高める実用的なツールとなっており、特に傷寒期のような急性熱性疾患への即応的対応に優れていました。

このように、『黄帝内経』は東洋医学理論の哲学的基盤を築き、『傷寒論』の六経弁証はその基礎のうえに、より現場に即した診断・治療法を築いたといえます。


六経弁証は2200年の歴史を持ちながらも、現在も150以上の処方に活用され、12の経絡系統と連動しながら全身のエネルギー循環と病理変化を捉える診療指針として生き続けています。


コメント


bottom of page