第15回腹証奇覧・奇覧翼を読む 桃核承気湯他
- 備忘録 東洋医学
- 7月30日
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更新日:11月9日
今回の処方
桃軍圓、桃核承気湯、大黄牡丹皮湯、人参芎軍桃花湯、癥痼圓、抵当湯、抵当丸、下瘀血湯
今回は瘀血の処方を集めて見ました。瘀血とは、東洋医学独特の概念で、身体の中の停滞した血を意味します。また血瘀というと血の流れが停滞して流れにくくなっていることを示します。
瘀血を駆逐する生薬を駆瘀血薬といい、大黄、桃仁、牡丹皮などの植物性生薬の他に、血の停滞が極まって動かなくなった血を動かす為の動物性生薬である蝱虫、水蛭、䗪虫などが用いられます。
桃核承気湯は胃気を守りながら邪熱を下す腸胃承気湯をベースとして駆瘀血薬である桃仁を配合し更に温経散寒の桂枝を加えた処方です。桂枝、甘草の組み合わせがあることにより、動悸を鎮め、上衝した気を納めます。左下腹部の圧痛が有名です。現代ではPMDDといわれる月経前症候群に激しい精神神経症状を伴う人にも適応があり、叔虎の腹診図の患者さんは男性ですが眉をつり上げ、食器を持ち今にも投げそうな様子はPMDDにおける気の上衝を思わせます。一方大黄牡丹皮湯は大黄、牡丹皮、桃仁という駆瘀血薬に、冬瓜子という化痰排膿の生薬を加えたもので炎症を抑えて瘀血を下し、排膿を目的とした駆瘀血、清熱解毒の方剤となります。虫垂が右にあることから圧痛点は右にあるとされますが、腹部の痰瘀互結証という証に従うならば、圧痛は右以外でもかまいません。
さらに陳旧性の瘀血(古血)を取り除くためには蝱虫、䗪虫、水蛭などの動物性生薬を用います。古血というのは瘀血のなれの果てで固まって動かないため動物性生薬の強い力を借りるのです。抵当湯、下瘀血湯、大黄庶虫丸などの出番です。これらの処方は、実証で肥満して瘀血の毒をためている人だけで無く、うつ病で元気の無い人や、大建中湯証のように羸瘦して、弱った人が、気の推動作用の低下により、瘀血状態が続き、停滞した血が動かなくなった場合にも用いられます。

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