第1回土方中医入門 歴史と基礎概要
- 備忘録 東洋医学
- 10月9日
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更新日:11月9日
はじめに
故土方康世先生はうめだ中医学研究会において、中医学を学ぶ人のために中医学入門の講義を年余にわたり続けてくださいました。そしてその思いは弟子である戸城えりこ、仲尾真美代にひきつがれ、山崎武俊先生をアドバイザーとして土方先生の講義録を復刻リニューアルして、現在も講義が継続されています。その講義は入門といいながら土方先生の中医学研究の心血を注いだ成果であり、中医学のみならず現代医学の面からの解釈も加えた深い内容となっています。この貴重な講義録を後世の人が学べる形で残したい、そんな思いから御遺族の方の許可も得て、東洋医学備忘録に掲載させていただきます。
今回はその第1回。テーマは中医学の歴史と基礎概論です。初学の方も後学の方も今後の中医学の学びに役立てていただけますよう、祈念致します。以下は第1回の要旨です 中医学は、古代中国における人類の生活と病気への対応から発展してきた伝統医学です。原始社会においては有毒植物の経験や有用な薬物の発見から薬学的知識が芽生え、春秋戦国時代には『黄帝内経』が成立し、陰陽五行学説や五臓六腑の概念が整理され、後世の医学の基礎となりました。続いて『難経』『神農本草経』『傷寒雑病論』などが登場し、弁証論治の思想が確立しました。 さらに隋・唐以降には『諸病源候論』や『千金方』などの医書が編纂され、病因病理の理解や予防医療が重視されました。宋代には鍼灸・婦人科・小児科などの専門的著作が生まれ、金元四大家の学派が登場し、病因を火邪・脾胃虚弱・陰虚・邪気と多面的に捉える流派が形成されました。清代には温病学が発展し、衛気営血弁証や三焦弁証が提唱され、感染症や急性熱病に対応する理論体系が整えられました。 近代以降、中医学は西洋医学の導入により衰退の危機に直面しましたが、民衆の支持と国家的施策により存続しました。1949年以降は中華人民共和国の政策として中西医結合が推進され、国立中医学院の設立や医師法の制定を経て、現代に至るまで体系的に発展しています。 中医学の特色は、まず「整体観念」にあり、人間を自然界と一体の有機的存在として捉える点にあります。次に「弁証論治」という方法論を基盤とし、四診により得られた情報から病態を分析し、治療法を決定します。これらは陰陽学説や五行学説を哲学的基盤とし、気・血・津液などの概念をもとに構築されています。現代の視点では、気をATPにたとえる解釈も示されており、伝統理論と科学的説明の接点も模索されています。(文責:峯尚志)

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