第2回腹証奇覧・奇覧翼を読む 桂枝湯他
- 備忘録 東洋医学
- 6月20日
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更新日:11月9日
今回の処方
桂枝湯、桂枝加葛根湯、葛根湯、葛根黄連黄芩湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加芍薬生姜人参
最初に取り上げるのは桂枝湯です。桂枝湯は私の最も愛する処方です。しかし、実際に使うことは少ない処方です。その理由は、桂枝湯は日本料理で言う「だし」のような処方だからです。「だし」だけをだす料理屋はないでしょう。しかし「だし」は日本料理を代表する「味」です。
実は何万とある漢方処方は桂枝湯から発展派生した処方なのです。今回紹介する桂枝加葛根湯、葛根湯、桂枝加芍薬湯、桂枝加芍薬大黄湯、桂枝加芍薬生姜人参湯は、すべて桂枝湯の加味方です。
また桂枝湯は、補陽の桂枝と斂陰の芍薬を等分に配置することによって陰陽の対立の構図をつくり、間を甘草、生姜、大棗が取り持つ構成をしています。これは脾である胃腸の働きを大切にしながら、陰陽のバランスを保ち、相互対立、相互依存という東洋思想の原点である『易』の思想を処方の中に具現しており、この平衡状態を基本としてより陰に走り、より陽に走る生薬を調合することによって、万病に適応する処方が作られてゆくのです。今回取り上げている葛根黄連黄芩湯も、桂枝湯の状態から誤治によって腸管に熱を持つ裏熱の状態に陥ったときの処方で、桂枝湯の生薬はひとつも使われていないのに桂枝湯という「だし」が生きている処方なのです。
また桂枝湯を飲む時には、布団をかぶりなさいとか、胃腸を守り、発汗を助けるために熱い粥をすすれという指示まであります。すなわち養生の考え方まで、桂枝湯の処方の中に組み込まれているのです。
理論という建前だけでなく、実際の臨床で使われる処方として桂枝湯という処方が存在していること。そのやさしい穏やかな味とともに、私が桂枝湯を愛してやまない理由がそこにあります。桂枝湯の生薬を一つも含まない処方であっても、その処方には桂枝湯という『だし』が含まれているのです。
また桂枝湯には腹直筋の緊張や、軽い動悸などの腹証や項背部の凝りなどの身体所見があります。なぜそのような腹証になるのか、また文礼の腹診図と、叔虎の腹診図はなぜ違っているのか、どちらが正しいのか、本編のPDFではその秘密にもせまっています。どうか、一緒に腹証奇覧・奇覧翼の旅にでかけてみてください。腹診について、処方について、東洋医学について、新しい理解にきっと出会えると思います。

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