第7回土方中医学入門 肝胆
- 備忘録 東洋医学
- 10月9日
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更新日:11月9日
今回は、肝・胆を中心にその生理・病機と臨床応用を整理します。肝は「疏泄」を主り、気機の昇降出入を調節して脾の昇清・胃の通降を助け、胆汁の分泌・排泄もこの疏泄に含まれます。情志活動の調節も肝疏泄の領域で、ストレスや抑鬱は肝気の滞りを招き消化機能や月経・生殖機能にまで波及し得ます。次に肝は「蔵血」を主り、血を貯えつつ需要に応じて供給量を配分し調節します。五行配当として肝の志は怒、液は涙、目に開竅し、筋を主り華は爪に現れます。病機では、精神刺激や抑鬱からの肝気鬱結、これが化火して肝火上炎、陰血の消耗から肝陰虚→肝陽上亢、さらに肝風内動へと変化します。他臓との関係では、肝乗脾・肝胃不和(胸脇苦満・脹満・噯気・便通異常)、肝火犯肺(咳・嗄声・時に失声)、心肝火旺(不眠・いらだち)などを鑑別します。胆は肝に表裏し、胆汁の貯蔵・排泄に関わる六腑であると同時に奇恒の腑に分類され、「決断を主る」ため機能低下は優柔不断や不眠につながります。治法は、四逆散系や柴胡剤で疏泄を回復し、竜胆瀉肝などで実火を瀉し、陰虚には滋陰平肝、痰気相搏には温胆・和解法を配剤します。和田東郭の臨床(『蕉窓雑話』)に見るように、肝鬱を軸に病勢の推移を読み、手段として四逆散や灸を多用する所作は現代にも示唆的です。総じて、肝の疏泄機能と蔵血、胆は決断を主るという機能を念頭に置いて、情志—消化—血の三位を往還するダイナミクスを描き、症候の組み替えと方意の転換で経過を制御することが肝要です。(文責:峯尚志)

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