第９回土方中医学入門 疾病と病因

今回は「疾病と病因」を体系化し、病邪の性質と発病機序、臨床応用について述べます。まず病因は六淫（風・暑・湿・燥・寒・火）を中心に、季節・環境と結びつく外邪として概説します。風は百病の長として他邪を先導し、暑は気津を傷り、湿は重濁・粘滞で長引かせ、燥は肺を傷り、寒は収引・凝滞で痛みや停滞を招き、火（熱）は陰液を損し風を生むとまとめます。これらに対応する体内現象として内生五邪（内風・内湿・内燥・内寒・内熱）を示し、瘀血・痰飲などの病理産物が根にある場合は同質の外邪と結びついて悪化しうることを強調します。七情内傷は臓腑と対応し、怒は肝、思は脾、憂悲は肺、喜は心、恐驚は腎を損ね、気機と血の失調へ波及します。飲食・労逸・外傷も重要な病因で、偏食・過労・安逸過多はいずれも正気を損ねます。発病の原理としては正気と邪気の消長、体質・精神状態・生活環境など内外環境の影響を総合的に評価します。総じて、病因—体質—気血津液—臓腑の連関を軸に、証の転化を見抜き治法を適時に転換することが肝要です。（文責：峯尚志）