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第14回腹証奇覧・奇覧翼を飲み解く大承気湯他

  • 執筆者の写真: 備忘録 東洋医学
    備忘録 東洋医学
  • 7月30日
  • 読了時間: 2分

更新日:11月9日

腹証奇覧・奇覧翼

今回の題目

大承気湯、厚朴大黄湯、厚朴三物湯、厚朴七物湯、腸胃承気湯、

大黄甘草湯、大黄消石湯、橘皮大黄朴硝湯、鶴丸


まず、生薬大黄について述べます。大黄はセンノシドを有効成分とする刺激性下剤です。しかし、大黄の薬効はそれだけではなく精神安神、抗菌、抗炎症、腎保護、駆瘀血、止血など多彩な薬効をもった生薬なのです。大黄甘草湯は大黄の刺激性を緩和するように甘草を加えた処方です。甘草は粘膜保護作用を持ち、慢性便秘に用います。これに芒硝を加えたのが腸胃承気湯になります。そして腸胃承気湯に人参、黄連を加えた鶴丸は稲葉文礼の師匠、鶴泰栄先生によって伝授された処方で、半夏瀉心湯のように心下痞硬の見られる症例で、大便不利のものに使用される処方です。

さて今回の最重要処方は大承気湯です。傷寒で悪寒発熱があって汗がでても治らないまま数日が経ち、発熱が続く場合、熱が裏である腸管まで及び、便の水分が奪われて、燥屎という乾燥した大便が溜まって便秘になる病態があり、この場合、腹部に乾燥した便とガスがたまり、腹が張って痛むという腹証が現れます。このような時期を陽明病といい、大承気湯を用いて下さなければ、熱がますますこもって、脱水状態になり、うわごとをいうような危篤の状態になります。大承気湯は大黄に燥屎という乾燥した大便を軟らかくするため塩類下剤である芒硝を加えます。さらに『承気』という名前からも分かるようにお腹は便と一緒に大量のガスが溜まっているため、腹が緊満して痛む状態となり、このガスをさばくために厚朴と枳実を加え大承気湯という処方が完成するのです。その加減法として小承気湯、厚朴三物湯、厚朴大黄湯、厚朴七物湯があり、大黄消石湯は黄疸の処方、さらに橘皮大黄朴硝湯は金匱要略の処方で、食あたりによるじんましんに用いられる処方となります。いずれも大黄による下法が治療戦略上重要になる処方群となります。

このように、今回は大承気湯を中心に、その加減法について学びます。その中で、大黄、芒硝、厚朴、枳実、甘草の薬能や薬理を知ることが、処方の使い分けにとって重要になります。輸液も抗生物質もなかった時代ですが、身体からの信号をうけとって、治癒反応が健やかに働いていくような治療の試みは、大いに参考にしていくべきだと考えます。


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