第18回腹証奇覧・奇覧翼を読む 苓桂朮甘湯他
- 備忘録 東洋医学
- 9月8日
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更新日:11月9日
今回の処方は
苓桂朮甘湯、茯苓桂枝甘草大棗湯、苓姜朮甘湯、茯苓甘草湯、茯苓戎塩湯、磁石眼です
今回は温化利水剤という痰飲を暖めることで取り除く苓桂朮甘湯から解説をスタートします。苓桂朮甘湯は、動悸、めまいに多用される処方ですが、自律神経の調節作用があり、時には仮性近視などの目の調節障害や、鼻水や、蓄膿にも効果を発揮します。中医学的には心下部にたまった飲(水)を暖めて取り除き、巡らす作用があります。甘草、白朮、茯苓で脾をまもり、桂枝で心陽を温め、桂枝は引火帰原の作用を持ち、腎を温めて、茯苓による利水効果を高めています。私は苓桂朮甘湯は上焦だけでなく、腎にも作用し、心、肺、脾、腎の縦方向の水の流れを円滑にする作用があると考えています。また他剤との相性もよく、合方することで長期に症状を安定させる役割も果たします。腹証は心下支飲により心下部を中心に臍上から壇中までの抵抗と動悸が目標となります。
苓桂甘棗湯は、大棗の栄養作用と緩和作用で動悸のパニック発作を治す。総腸骨動脈の動悸の触診が目標となります。
苓姜朮甘湯は、裏寒を治す甘草乾姜に茯苓、朮を加えた処方で、裏寒による陽虚水滞による、腰の重い冷え痛みを治します。
温化利水剤として重要な生薬は茯苓で、茯苓は脾胃のみに作用する朮と違って、脾胃の他に、心、肺、腎にも作用し、身体全体の水液代謝を改善する要薬となります。体内の水液代謝は、脾を中心に心、肺、脾、腎の相互作用が重要で、苓桂朮甘湯はこの四臓の働きを調和する名方といえます。
茯苓甘草湯は、風邪などで発汗後汗が止まらず、動悸、胸内苦悶、小便が出にくい者に用います。汗が出て脱水の傾向がありますが、その程度はまだ軽く、胃内停水があり、その水を利することで、全身の水分代謝を改善する処方となります。茯苓戎塩湯の戎塩は岩塩のことで、塩分と水分が同時に欠乏し、口渇するものに用います。磁石丸は、磁石をはじめとした鉱物を多数含む処方です。これらの鉱物は主に重鎮安神の効能をもちます。腹証をみると、手足細くて栄養状態が悪く、腹水が溜まってお腹が出ている状態です。腹水を伴った悪液質を考えましたが、叔虎は非代償性肝硬変による黄疸に用いられていたようです。

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