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第7回腹証奇覧・奇覧翼を読む 越婢湯他

  • 執筆者の写真: 備忘録 東洋医学
    備忘録 東洋医学
  • 7月3日
  • 読了時間: 3分

更新日:11月9日

腹証奇覧・奇覧翼

今回の処方

越婢湯、越婢加朮湯、越脾加朮附湯、越碑加半夏湯

麻黄杏仁甘草石膏湯、麻黄杏仁薏苡仁甘草湯、文蛤湯

白虎湯、竹葉石膏湯

桂姜棗草黄辛附湯、枳朮湯


今回はまず麻黄―石膏の組み合わせの処方と腹証を学びます。

麻黄は交感神経作動薬であるエフェドリンを主成分に持つ生薬で、気管支拡張作用、鎮咳作用、発汗作用を持ち、傷寒における麻黄湯の君薬で辛温解表薬の代表ともいえる生薬です。 

この麻黄に陽明経証に用いられる気分の熱を冷ます石膏を組み合わせると、強い清熱利水作用を発揮するようになり炎症性の浮腫に著効する処方となります。有名なのは燥湿健脾の蒼朮を組み合わせた越婢加朮湯で、熱感を持った関節炎や、蕁麻疹などに応用されます。麻黄石膏に杏仁、甘草を合わせると気管支を拡げると同時に気道粘膜の浮腫をとり、鎮咳作用を持つ麻杏甘石湯となります。

 越婢湯の腹証に於いては、熱を持った水気が胸に集まっているために、その部分に手を当てると、熱い灰の入った袋を上から按じているような感じと表現しており、炎症性浮腫の他覚的所見と考えることが出来ます。利水消腫の薏苡仁を合わせた麻杏苡甘湯は関節の痛みと浮腫を取り除く処方となります。文蛤等湯は滋陰しながら痰湿を取り除く蛤の貝殻を君薬とした処方となります。

 さて石膏を君薬とする白虎湯の腹証においても、胸腹部に緊張のある張りがあって、熱灰をいれた袋を按じたような熱感があると、越婢湯と同じ表現をしています。竹葉石膏湯は、この所見に加えて、胸満、気逆による喘鳴と咳嗽、動悸、五心煩熱を目標としており、熱のこもった気管支炎の処方としています。

 さて桂姜棗草嘔参附湯ですが、桂枝去芍薬湯と麻黄附子細辛湯の合方という不思議な組み合わせの処方で、古来より『大気一転の方』といって、治療が停滞してうまくいかないときの起死回生の処方のように言われている処方です。腹証に於いては心下に杯をひっくり返したような堅い抵抗と、下部胸椎から上部腰椎の際(きわ)に現れる抵抗を目標としています。どのような病態に使ったらいいのか迷う処方ですが、私は、桂枝湯合麻黄附子細辛湯として胃腸が弱く冷え性で陽虚の傾向のある患者さんが風邪を引いたときに、脾胃を守りながら温陽解表してくれるので、虚弱者の風邪にしばしば用いて著効することが多いです。温陽利水の附子と、桂枝、麻黄、細辛という『散』の作用のある生薬が多用されており、停滞した気の流れを『散』の力で発散しながら最後に桂枝の引火帰原して腎に戻すというのが『大気一転』の意味ではないかと考えています。芍薬を除いて補陽薬ばかりで構成した桂姜棗草黄辛附湯は、少陰から太陽まで商店街のくじ引き会場でみかける『ガラポン』のような処方であると考えています。

今回は、辛温解表だけでない、麻黄の作用を中心に学んでいただけたらと思います。


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