補薬を俯瞰する
- 備忘録 東洋医学
- 9月8日
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更新日:11月9日
今回は中医薬学における補薬、すなわち身体の気血陰陽の虚を補う薬物について、四つの分類(補気薬・補陽薬・補血薬・補陰薬)に分けてその特徴をつかめるよう体系的に解説します。 補気薬は主に肺気虚や脾気虚による倦怠感、息切れ、食欲不振などに使用され、人参、黄耆、白朮、山薬などが代表的です。これらは気の不足による機能低下を補い、免疫機能や循環機能の改善、抗老化や抗炎症作用を持つものも多くあります 。 補陽薬は、腎陽虚に対して使われ、全身のエネルギー代謝や性機能、成長発育を促します。鹿茸、紫河車、淫羊霍、杜仲、冬虫夏草などが含まれ、冷えや頻尿、性機能低下、腰膝のだるさなどを改善します。これらの多くは、温熱性を持ち、気血を補うだけでなく、内分泌や免疫の調整、抗疲労、抗癌といった薬理作用も豊富です。 補血薬は、血虚によるめまい、顔色不良、月経不順などに用いられ、代表的なものとして熟地黄、当帰、白芍、阿膠などがあります。補血薬は粘膩性が高いため、消化器虚弱の患者では健脾薬と併用する必要があります。これらの生薬は造血作用のほか、血圧・血糖の調節、抗炎症、抗酸化作用なども報告されています。 補陰薬は、肺・胃・肝・腎などの陰液不足に対応し、慢性的な咳、口渇、ほてり、不眠などに適応します。北沙参、麦門冬、枸杞子、亀板などがあり、多くは滋潤性で冷性をもち、鎮静や免疫調整作用も認められます。陰虚に伴う内熱や虚火の亢進に対しても効果的です。 これら補薬は、患者の虚証の状態や臓腑別の不足に応じて適切に選択する必要があります。それぞれの薬物には豊富な薬理作用が確認されており、現代医療においても応用可能な側面が多いことがわかります。生薬の性味・帰経・適応証を的確に理解し、個々の病態に応じて組み合わせることで、より効果的な治療が可能になります。

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